2012年3月23日金曜日

三味線栗毛

先日は落語講座へいっぱいのお運び、誠にありがとうございます。

今回の演目は「三味線栗毛」
もともとは講釈だったものを落語化したとされる古いお話でして。


「大名の酒井雅楽頭(さかいうたのかみ)の次男、
角太郎(かくたろう)は父親に疎まれ、下屋敷で部屋住みとなって、
五十石というわずかな捨扶持で暮らしていた。
肩がこるという角太郎のために、用人の清水吉兵衛が呼んだのが、
療治をしながら落語ができる錦木(にしきぎ)という名の按摩(あんま)。
角太郎は錦木を大変に気に入って贔屓にするが…」


本来この「角太郎」は長男ではありませんので、
「角三郎(かくさぶろう)」とするのが正しいようですが、
かの古今亭志ん生師匠は「角太郎」でやってらっしゃいます。
おそらく語りの節回しを重視して、「かくさぶろう」より
すっきり発音できる「かくたろう」を選んだのではないかと。
うっかりして間違えた、という説も否定できませんが…

江戸時代は、たとえ大名家に生まれても長男でなければ、
不遇の人生を送る人が少なくありませんでした。
次男三男に生まれた場合は、「部屋住み」の身
(仕事もなく文字通り部屋に住んでいるだけの人、言わば強制ニート!)
 となって、もしもの時に家の血筋が絶えないためのスペアとして
生かされているような存在でした。

そうした不遇を意に介さない角太郎と、
錦木との身分を越えた関わり合いを、
講釈種らしく、さらりと描いたこの話 。
笑い所は少ないんですが、私は大好きな話。

人の「了見」をさらっと教えてくれる、こういった話は、
価値観が多様化した現代において、
大切なメッセージを含んでいると思います。

ちなみに杉田整体院では、錦木さんみたく、
施術中における落語の提供は行っておりませんので、
お間違えございませんよう…。

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