「目に見えない不思議なパワーって本当にあるんですか?」
よく患者さんに質問されます。
代替医療には、「目に見えない力」を提示しているものがあります。
○○スピリチュアル、△△パワー、◇◇波動、…などなど。
目に見えないものを「ある」と言っているわけですから、
なんだか怪しい!と思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし、不思議なパワーが「絶対にない」と証明することもできません。
現代科学では分析できないエネルギーがそこにはあるのかもしれません。
しかし今までにいわゆる「パワー」の存在が物理的に証明された事はありません。
少なくとも科学的な検証下では、髪の毛一本すら持ち上げたことはないのです。
これからもパワーが目に見える形で証明されることはおそらくないでしょう
いずれにせよ「ある」と認識している人たちは、パワーを感覚で認識しています。
一つはっきりしていることは、「不思議な力」の存在が信じられている文化圏において、
「不思議な力」は単なる幻想ではないということです。
「笑いと治癒力」 (ノーマン・カズンズ 岩波書店)
に出てくるアフリカの呪術師は事実として村人を治している。
実際に自分を治してくれる(自分の治す力を引き出してくれる)
やり方が「目に見えないパワー」である人に、
科学的でないから信じるのをやめろと言うのは、合理性を欠いています。
「そういう力を信じたい」、という文化や社会があるのは事実であり、
そのパワーを「実感」している人がいるのですから。
この「実感」というもの自体は存在するのですから、
少なくともその人の意識の中にだけは「パワーと呼べるもの」は存在するのです。
それは科学的に説明するならば「脳のパワー」ということかもしれません。
「パワーを使います」という宣言は、それ自体が
相手の思考や感情にバイアスを与えます。
本当にパワーが存在する、しないに関わらず、
神秘的な期待感の中で、「パワーが送られている」、「何だか体があたたかい」と感じれば、
安心感、幸福感、リラックスといった影響が現れ、
それが症状の改善につながる可能性はあります。
「パワーなど絶対に信じない」
という否定的な感情を持って、体をこわばらせていたのならば、
何の変化もないかもしれません。
いずれにせよ結果として元気になることがあるのならば、
それを一方的に間違いだとすることはできません。
しかし、「パワー」はその神秘性ゆえに諸刃の剣になることもあります。
もしもパワーを絶対的なものとして受け入れてしまった場合、
良くならない時に待っているのは、深い絶望かもしれませんし、
良くなった時でも依存してしまう可能性があります。
「パワーでよくなる」というやり方が、他の治療よりも優先すべきものなのか、
費用対効果も含めて、その人の人生にとって適切な手段であるのかどうか。
様々な側面から考えなければ、有益とはいえないものになるかもしれません。
「笑いと治癒力」に出てくるアフリカの呪術師は、自分が治せる者、病院に行くべき者
をきちんと理解して振り分けていました。呪術のパワーが実際にあるかないか以前に、
その呪術の「適用範囲」を知り、どのように役立てるかという視点を持っています。
まあ、もしも私が仮に「パワー」を持っていて、それで治せるとしたら、
そのことを宣言せずに黙って使うでしょうね。
誰に対して、どのように用いるべきなのか。
これは他の代替医療でもそうですし、
また通常医療においても念頭に置くべき大切な事だと思います。
2012年8月7日火曜日
2012年2月2日木曜日
「骨盤ダイエット」はいつから?(解析編)
今回は最終回です。「骨盤ダイエット」が流行る背景について考えます。
前回までの記事はコチラ→(黎明編)(成長~成熟編)
「骨盤ダイエット」がブームになっている理由。
それはまず基本の概念として、近年の健康志向にピタリとはまる、
「健康的に痩せる」というアドバルーンを上げたからです。
さらに健康志向が強い人には、「からだ想い」「病気知らず」「メンテナンス」
若く美しくなりたい人には、「アンチエイジング」「艶BODY」「美腰」「小顔」
ライフスタイル全般が気になる人には、「女子力アップ」「ストレスに強くなる」
世代や価値観の違う人達に対して、
組みあわせキーワードでチューニングすることにより、
多くの人に支持されているのではないのでしょうか。
私は無数にある「骨盤〇〇法」自体が効果のないものだと言うつもりはありません。
それをキチンと行って元気になっている人もたくさんいると思います。
ただそれを推し進めている人達が、「どういう言葉を使っているのか」
をきちんと見極めることで、その人達の「了見」はわかるのではないのでしょうか。
そこを理解した上で、振り回されずに上手に活用することが大事だと思います。
「1日5分でOK」に飛びつく人は、往々にして、その「1日5分」すら続けられず、
しばらくするとまた違う「1日5分」「〇〇するだけ」に飛びつくことになりかねない。
そういう人の心を見透かして、マーケティングは行われているかもしれません。
前回までの記事はコチラ→(黎明編)(成長~成熟編)
「骨盤ダイエット」がブームになっている理由。
それはまず基本の概念として、近年の健康志向にピタリとはまる、
「健康的に痩せる」というアドバルーンを上げたからです。
そして、
「やっぱりお腹いっぱい食べたい」 → 「食べても太らない体質に」
「時間がない」「運動は大変」 → 「一日5分でOK」「〇〇をするだけ」
という、
「やっぱりお腹いっぱい食べたい」 → 「食べても太らない体質に」
「時間がない」「運動は大変」 → 「一日5分でOK」「〇〇をするだけ」
という、
現代人の誰にとっても、大変ありがたい効果を謳っているということ。
さらに健康志向が強い人には、「からだ想い」「病気知らず」「メンテナンス」
若く美しくなりたい人には、「アンチエイジング」「艶BODY」「美腰」「小顔」
ライフスタイル全般が気になる人には、「女子力アップ」「ストレスに強くなる」
世代や価値観の違う人達に対して、
組みあわせキーワードでチューニングすることにより、
多くの人に支持されているのではないのでしょうか。
私は無数にある「骨盤〇〇法」自体が効果のないものだと言うつもりはありません。
それをキチンと行って元気になっている人もたくさんいると思います。
ただそれを推し進めている人達が、「どういう言葉を使っているのか」
をきちんと見極めることで、その人達の「了見」はわかるのではないのでしょうか。
そこを理解した上で、振り回されずに上手に活用することが大事だと思います。
「1日5分でOK」に飛びつく人は、往々にして、その「1日5分」すら続けられず、
しばらくするとまた違う「1日5分」「〇〇するだけ」に飛びつくことになりかねない。
そういう人の心を見透かして、マーケティングは行われているかもしれません。
そして本が売れるところへ出版業界も「選択と集中」をしています。
そこに「本づくりの良心」が果たしてあるのかどうか。
いずれにせよ2012年もこの潮流に変わりはないと思います。
いずれにせよ2012年もこの潮流に変わりはないと思います。
それにしても、このことを真剣に話したら、本一冊分くらいのボリュームにはなりますね。
原稿を書いても出版社から総スカンをくらうかもしれないですけど。
もしこのネタで本が出せれば、私も晴れて「骨盤商売」の仲間入りですな。
原稿を書いても出版社から総スカンをくらうかもしれないですけど。
もしこのネタで本が出せれば、私も晴れて「骨盤商売」の仲間入りですな。
2012年1月31日火曜日
「骨盤ダイエット」はいつから?(成長~成熟編)
「骨盤」の扱われ方をamazon検索で追って分析をしていきます。
今回は「成長~成熟編」です。(前回の黎明編は→コチラ)
20世紀の全期間で出版された「骨盤」と「痩せる」を組み合わせた本は
わずかに6冊でした。「腰痛」などを扱った健康関連本も23冊。
2001年はダイエット関係は0冊、健康関連本は2冊と風前の灯。
この年は過去最高の93冊が出版されており、組み合わせキーワードは
「お腹が凹む!」「-10歳アンチエイジング」「スピリチュアル」「断捨離」
など定番ぽいものから、時代に合わせたものまでチョイスにぬかりはありません。
今回は「成長~成熟編」です。(前回の黎明編は→コチラ)
20世紀の全期間で出版された「骨盤」と「痩せる」を組み合わせた本は
わずかに6冊でした。「腰痛」などを扱った健康関連本も23冊。
2001年はダイエット関係は0冊、健康関連本は2冊と風前の灯。
ところが2002年「骨盤ダイエット」と銘打った本が何冊か出版されます。
3年間ほどコンスタントに10冊程度の本が出ますが、
2005年には3冊と下火に…、なったかと思いきや、
2005年には3冊と下火に…、なったかと思いきや、
2006年、突如として「骨盤ダイエット」本が大量に出現します。
なぜ増えたのかはわかりませんが、その数は23冊と今までの中で最高。
そして、2007年28冊、2008年64冊、2009年87冊と右肩上がりの急成長。
健康関連本は2008年13冊から2009年59冊と急激に増えています。
これは2008年ごろから流行り始めた「骨盤」という注目ワードに
乗っかる本が急増したからでしょう。
スポーツ関連、出産関連が特に伸びています。
それにしても数が多ければ、やっちまった感が漂うタイトルも出てくるわけでして…。
年代別に、「骨盤」と組み合わせて使われたキーワードと一緒に見てみましょう。
年代別に、「骨盤」と組み合わせて使われたキーワードと一緒に見てみましょう。
2008年
『YOGA整体―一人で簡単ゆがみ改善!
ユガンデルタール人からユガミネーゼへ、美の進化』
「ユガミネーゼ様ごきげんよう」とか言ってたんでしょうかね。全くもってアリエネーゼ。
この年に「骨盤」とセットにして使われたキーワードは「くびれ」「骨盤ネジしめ」。
また「主婦世代のカリスマモデル」みたいな人が著者となった本が増えています。
2009年
『1分間 骨盤リンパダイエット 「銀座」が認める、最新メソッド!』
そりゃもう「銀座」が認めるなら間違いない!
『八代亜紀のゆるーい3カ月骨盤ダイエット―二の腕・ウエストに効く雨降れウォーク』
「雨降れウォーク」って……誰か止められなかったんですか。
この年ぐらいから流行した他の健康関係の言葉がセットになって、付加価値も上昇。
「リセット」「毒出し」「デトックス」などなど
2010年
『最後の骨盤 女力は骨盤で決まる 』(講談社プラスアルファ新書)
最後の骨盤があるなら、最初の骨盤はあるのか?
「一日30秒」「骨盤で免疫力アップ」「骨盤で幸せをつかむ」等々、
ニーズに合わせたキーワードの組み込みも定着してきました。
この年辺りから「骨盤枕」という言葉もあらわれます。
この年辺りから「骨盤枕」という言葉もあらわれます。
2011年は受けを狙ったタイトル(本人は真剣なんでしょうが)は見当たりませんでした。
業界が精度の高いマーケティング戦略を行えるようになったからでしょうか。
この年は過去最高の93冊が出版されており、組み合わせキーワードは
「お腹が凹む!」「-10歳アンチエイジング」「スピリチュアル」「断捨離」
など定番ぽいものから、時代に合わせたものまでチョイスにぬかりはありません。
それにしても「ダイエット」自体はずっとブームですが、
なぜ「骨盤ダイエット」がこれほどまでに、
もてはやされるようになったのでしょうか。
これはどうもキーワードの組み合わせがうまいだけではないようです。
続きは次回「解析編」の講釈にて。
なぜ「骨盤ダイエット」がこれほどまでに、
もてはやされるようになったのでしょうか。
これはどうもキーワードの組み合わせがうまいだけではないようです。
続きは次回「解析編」の講釈にて。
2012年1月30日月曜日
「骨盤ダイエット」はいつから?(黎明編)
先日妻と「骨盤」の話をしていたら、
「昔は骨盤がズレたら大変だ、と思い込んでいたけど、
いつ頃からそんな一般常識や、骨盤ダイエットという言葉ができたの?」
と質問をされまして。うーん確かにいつからだろうか。
現在「骨盤」という言葉は日常的にTV番組や雑誌などで取り上げられ、
腰痛、ダイエット、体質改善、と様々な効果と絡めて使われています。
本来「骨盤」は医学用語であり、骨格のある部位を指す言葉で、
寛骨、仙骨、尾骨といわれる骨が強固に結合した、
複数の骨の集合体のことです。(わかりにくいと思った人は→こちら)
で、実際に「骨盤がズレる」ということはありません。
あるいは表現として間違っている、というのが事実です。
このことはまた違う機会に詳しく解説します。
一体「骨盤」という言葉への認識がいつから変わっていったのか。
検証方法として正しいかはちょっと疑問ですが、
amazonの書籍検索を使い、「骨盤」というキーワードで調べてみました。
全期間で調べると、総件数は969件でした。
これを年代別に調べてみました。
amazonで検索できる最も古いものは、1957年に出版された
『日本産婦人科全書〈第14巻 第1〉骨盤・腹膜及結合織疾患』
けれん味たっぷりのタイトルですが帯の一言がまたスゴイ。
「昔は骨盤がズレたら大変だ、と思い込んでいたけど、
いつ頃からそんな一般常識や、骨盤ダイエットという言葉ができたの?」
と質問をされまして。うーん確かにいつからだろうか。
現在「骨盤」という言葉は日常的にTV番組や雑誌などで取り上げられ、
腰痛、ダイエット、体質改善、と様々な効果と絡めて使われています。
本来「骨盤」は医学用語であり、骨格のある部位を指す言葉で、
寛骨、仙骨、尾骨といわれる骨が強固に結合した、
複数の骨の集合体のことです。(わかりにくいと思った人は→こちら)
で、実際に「骨盤がズレる」ということはありません。
あるいは表現として間違っている、というのが事実です。
このことはまた違う機会に詳しく解説します。
一体「骨盤」という言葉への認識がいつから変わっていったのか。
検証方法として正しいかはちょっと疑問ですが、
amazonの書籍検索を使い、「骨盤」というキーワードで調べてみました。
全期間で調べると、総件数は969件でした。
これを年代別に調べてみました。
amazonで検索できる最も古いものは、1957年に出版された
『日本産婦人科全書〈第14巻 第1〉骨盤・腹膜及結合織疾患』
これは医学専門書で、この後も解剖学などの医学書のみが検索にかかります。
健康関連の一般書が出てくるのは1979年に出版されたこちらから。
『体は骨盤から治せ―土台から正す、誰にもできる』五味雅吉 (Hakko-books)
私が整体業界に入ったときに、有名人だったこの方は27件も検索にかかります。
婦人病や腰痛にとどまらず、色んな本を出しており
中高年の疲れや老化を改善するものやら、
果ては子供の視力回復の本まで出しているという…。まあ…スゴイですね。
ダイエット関係の本が出てくるのはもう少し後のことになります。
それが1988年の6月に出版されたこの本。
『こんなにヤセていいかしら―不思議な面白減量法 1回30秒だけで1日1キロ落ちる』
川津祐介 (プレイブックス)
けれん味たっぷりのタイトルですが帯の一言がまたスゴイ。
- ぜったいにやり過ぎないで下さい -
昔は「本当に効くなら薬と一緒で、制御しないと危ない」と考える人が、
書籍を購入する人に多かったということですね。そのほうが信用できると。
俳優として有名だった川津祐介さんが書いたこの本はベストセラーとなり、
その中で紹介されている「骨盤体操」は大流行。
どうやら「骨盤」と「ダイエット」がセットになる土台は、この本によって作られたようです。
これ以外は80年代90年代「骨盤」というフレーズを使っている書籍は
「腰痛」や「婦人病」関連のものがほとんどで、その数も多くはなく、
ブームになったようなものも見当たりません。
私が整体修行を始めた1996年ごろには、
「骨盤のズレで体調がおかしく」という言葉を使っている人は結構いました。
骨盤とダイエットは先の本でセットになったものの、
「骨盤がおかしくなると、体が大変なことになる」というような
考え方がどこから来たのかどうもはっきりしない。
この20年、30年の間に何かのブームで変わったのではなく、
意外ともっと以前から日本人の共通認識として受け継がれていたのかもしれません。
そして「骨盤ダイエット」という言葉が市民権を得るのは、まだまだ先のことでございまして。
ブームになったようなものも見当たりません。
私が整体修行を始めた1996年ごろには、
「骨盤のズレで体調がおかしく」という言葉を使っている人は結構いました。
骨盤とダイエットは先の本でセットになったものの、
「骨盤がおかしくなると、体が大変なことになる」というような
考え方がどこから来たのかどうもはっきりしない。
この20年、30年の間に何かのブームで変わったのではなく、
意外ともっと以前から日本人の共通認識として受け継がれていたのかもしれません。
そして「骨盤ダイエット」という言葉が市民権を得るのは、まだまだ先のことでございまして。
続きは次回「成長~成熟編」の講釈にて。
2011年11月22日火曜日
「ためしてガッテン」への医療、代替医療の反応を考える
先週のためしてガッテン「驚異の回復!腰の痛み」をご覧になった方は多いようで、
患者さんも随分と話題にしていらっしゃいました。
さすが平均視聴率17%以上の番組です。
0.1%以下の日もある「きょうの健康」とは影響力が違います。
「先生が前から言ってきた事が、ついにテレビでやりましたね」
と言われても、これまでの被害を思うと、なんとも重たい気分です。
前回の記事で、間違えた理由を検証もしないで…、という話をしましたが、
番組に出られた先生方を批判するつもりはありません。
どういう意図であったにしろ、少なくとも「ヘルニア」に関しては、これ以上
手術をして後悔する人が出るのを防いでくれたのですから。
なんにせよ、国立大学以外の先生が、
今までの医学の常識を、視聴率の高いテレビ番組で大々的にほぼ完全否定した。
(これは国立大学の先生には、そもそもできないことかもしれませんが)
もうそれ以上の追及ということはできないんでしょう。
先日の放送に対する医療業界の反応を、ネットで調べて見ると、
スルーしている所が大半です。まあ反論の余地はほとんどありませんからね。
逆に手術に反対していた医師、あるいは代替医療の先生には意気軒昂の方もいる。
「そら見たことか、今さら何を言っている」
と批判した上で、
「我々が前から言っていた様に、筋肉と心を治療すれば治るんだ」(○○整形外科)
「脳の一部が問題なら、頭蓋骨調整で脳の血流をよくする私のやり方で絶対治る」(○○整体)
と都合のいい箇所をピックアップして我田引水。うーむ。
「自分は正しかった」と言いたい気持ちはわかるのですが、
もう「○○で治る!」と断言するのはやめにしませんか。
「絶対に治る」と期待して「治らない」ことで追い詰められる人がいるんです。
私には「○○で絶対治る」の○○に入るのが、「手術」から
別の「△△療法」に変わっているだけにしか思えないんです。
「確率的に他より治している」
「手術より危険はない」
というのは詭弁だと思いますよ。
ためしてガッテンに出演していた方も、
「近くにある湖に、何度飛び込もうと思ったことか…」
と仰ってました。
私は仕事の中でそういう方に幾度と無くお会いしてきて、
「治る確率を上げること」以上に、「治らない事で追い詰められる人を生まない」
ということが一番大事だと思うようになりました。
「絶対治る!」という宣言は、一つ間違えると苦しんでいる人を
さらに奈落へ突き落すこともあるのです。
そして、この番組で紹介された、
「ストレス改善によって、腰痛は自分で治せることもある」
という事をもっと積極的にとりあげるべきではないのでしょうか。
自分で治せれば治療に行く必要はありません。
それが患者さんにとってはベストです。
「やっぱり私は正しかった」「私のやり方で治せる」と主張をしておいて、
自分の仕事(商売)に都合の悪い事実はきちんと取り上げようとしない。
そんなことでは、今まで「ヘルニア」の真実を積極的に知らせようとしなかった人達と
やってることはある意味一緒だと思うのです。
いや、もっと「たちが悪い」と了見を疑われたって仕方がない。
「誰の為にやっているのか」、という視点がまず「患者さん」に向いていなければ、
通常医療でも代替医療でも信用されなくなるのは当たり前です。
自分の治療の正当性を主張する前に、やるべきことがあるのではないでしょうか。
「腰痛は自分で治すこともできる」
そういう、「起こり得ること」をまず知ってもらう。その上で、
「こういうサポートの仕方がある。しかしそのやり方が全てではない」
と、事実をきちんと伝えること。
これが、通常医療であろうが、代替医療であろうが、
人(患者)と向き合う上で、必要な前提だと思います。
患者さんも随分と話題にしていらっしゃいました。
さすが平均視聴率17%以上の番組です。
0.1%以下の日もある「きょうの健康」とは影響力が違います。
「先生が前から言ってきた事が、ついにテレビでやりましたね」
と言われても、これまでの被害を思うと、なんとも重たい気分です。
前回の記事で、間違えた理由を検証もしないで…、という話をしましたが、
番組に出られた先生方を批判するつもりはありません。
どういう意図であったにしろ、少なくとも「ヘルニア」に関しては、これ以上
手術をして後悔する人が出るのを防いでくれたのですから。
なんにせよ、国立大学以外の先生が、
今までの医学の常識を、視聴率の高いテレビ番組で大々的にほぼ完全否定した。
(これは国立大学の先生には、そもそもできないことかもしれませんが)
もうそれ以上の追及ということはできないんでしょう。
先日の放送に対する医療業界の反応を、ネットで調べて見ると、
スルーしている所が大半です。まあ反論の余地はほとんどありませんからね。
逆に手術に反対していた医師、あるいは代替医療の先生には意気軒昂の方もいる。
「そら見たことか、今さら何を言っている」
と批判した上で、
「我々が前から言っていた様に、筋肉と心を治療すれば治るんだ」(○○整形外科)
「脳の一部が問題なら、頭蓋骨調整で脳の血流をよくする私のやり方で絶対治る」(○○整体)
と都合のいい箇所をピックアップして我田引水。うーむ。
「自分は正しかった」と言いたい気持ちはわかるのですが、
もう「○○で治る!」と断言するのはやめにしませんか。
「絶対に治る」と期待して「治らない」ことで追い詰められる人がいるんです。
私には「○○で絶対治る」の○○に入るのが、「手術」から
別の「△△療法」に変わっているだけにしか思えないんです。
「確率的に他より治している」
「手術より危険はない」
というのは詭弁だと思いますよ。
ためしてガッテンに出演していた方も、
「近くにある湖に、何度飛び込もうと思ったことか…」
と仰ってました。
私は仕事の中でそういう方に幾度と無くお会いしてきて、
「治る確率を上げること」以上に、「治らない事で追い詰められる人を生まない」
ということが一番大事だと思うようになりました。
「絶対治る!」という宣言は、一つ間違えると苦しんでいる人を
さらに奈落へ突き落すこともあるのです。
そして、この番組で紹介された、
「ストレス改善によって、腰痛は自分で治せることもある」
という事をもっと積極的にとりあげるべきではないのでしょうか。
自分で治せれば治療に行く必要はありません。
それが患者さんにとってはベストです。
「やっぱり私は正しかった」「私のやり方で治せる」と主張をしておいて、
自分の仕事(商売)に都合の悪い事実はきちんと取り上げようとしない。
そんなことでは、今まで「ヘルニア」の真実を積極的に知らせようとしなかった人達と
やってることはある意味一緒だと思うのです。
いや、もっと「たちが悪い」と了見を疑われたって仕方がない。
「誰の為にやっているのか」、という視点がまず「患者さん」に向いていなければ、
通常医療でも代替医療でも信用されなくなるのは当たり前です。
自分の治療の正当性を主張する前に、やるべきことがあるのではないでしょうか。
「腰痛は自分で治すこともできる」
そういう、「起こり得ること」をまず知ってもらう。その上で、
「こういうサポートの仕方がある。しかしそのやり方が全てではない」
と、事実をきちんと伝えること。
これが、通常医療であろうが、代替医療であろうが、
人(患者)と向き合う上で、必要な前提だと思います。
2011年10月17日月曜日
弟子の報酬
未だに残る厳しい徒弟制度の世界。
なぜそういう世界に飛び込むのか。
それはそこでしか得られないものがあるからです。
整体でも色んな学び方があります。
私は弟子入りをしましたが、一般的には講習会や学校に通って勉強します。
この場合、授業料の対価として技術を教えてもらえます。
しかし体を使う技術、感覚が大切な技術において、
肝心な情報は個人に属しています。
武道、料理人、落語家、整体師、
その中で、名人、達人と言われる人の技は
できるだけその人の傍にいて
繰り返し繰り返し鍛錬して
感性的な部分まで勉強しなければ
身に付けることは難しい。
情報はセミナーでも買う事ができるが、
この感覚の部分は一朝一夕では身につかない。
また公の場では秘技、秘伝は開示されないのが常です。
弟子になることでしか得られない報酬が確約されていることで
徒弟制度は成立してきたといえます。
私はどうせやるならば一番うまい人の下で
修行しようと、落語家、整体師と
弟子入りをするときには吟味させて頂きました。
師匠選びは3年かけろ、なんてよく申しまして。
しかし現在、落語などの演芸はプロでなくても
DVDなどの映像で勉強することが出来ます。
しかも名人と謳われた落語家の映像で(下手でつまんないとDVD化されない)。
つまり秘技秘伝だだ漏れ状態という。
だから落語協会に所属する落語家にはなれなくても
落語自体はうまくなれるというわけで。
社会人落語でも上手な人がこれから増えていくでしょうね。
しかしそうなると、落語家の弟子の報酬は、
「芸」ではなく「協会所属の落語家」という権益の獲得になってしまう。
さあ困った。
伝統芸能のアイデンティティーが脅かされております。
なぜそういう世界に飛び込むのか。
それはそこでしか得られないものがあるからです。
整体でも色んな学び方があります。
私は弟子入りをしましたが、一般的には講習会や学校に通って勉強します。
この場合、授業料の対価として技術を教えてもらえます。
しかし体を使う技術、感覚が大切な技術において、
肝心な情報は個人に属しています。
武道、料理人、落語家、整体師、
その中で、名人、達人と言われる人の技は
できるだけその人の傍にいて
繰り返し繰り返し鍛錬して
感性的な部分まで勉強しなければ
身に付けることは難しい。
情報はセミナーでも買う事ができるが、
この感覚の部分は一朝一夕では身につかない。
また公の場では秘技、秘伝は開示されないのが常です。
弟子になることでしか得られない報酬が確約されていることで
徒弟制度は成立してきたといえます。
私はどうせやるならば一番うまい人の下で
修行しようと、落語家、整体師と
弟子入りをするときには吟味させて頂きました。
師匠選びは3年かけろ、なんてよく申しまして。
しかし現在、落語などの演芸はプロでなくても
DVDなどの映像で勉強することが出来ます。
しかも名人と謳われた落語家の映像で(下手でつまんないとDVD化されない)。
つまり秘技秘伝だだ漏れ状態という。
だから落語協会に所属する落語家にはなれなくても
落語自体はうまくなれるというわけで。
社会人落語でも上手な人がこれから増えていくでしょうね。
しかしそうなると、落語家の弟子の報酬は、
「芸」ではなく「協会所属の落語家」という権益の獲得になってしまう。
さあ困った。
伝統芸能のアイデンティティーが脅かされております。
2011年10月13日木曜日
代替医療への期待
「先生の神通力で腰痛だけでなく肝臓までよくなりました!」
随分前のことですが、このように仰る方が来られたことがありました。
この方は来院する2,3年前から腰痛に苦しんでいました。
それが1ヶ月程度でかなりの改善がみられ、
それからさらに2ヶ月程経ってから肝臓を検査したところ、
今までかなり悪かった数値が正常になっていた、というのです。
「この整体は、肝臓を治せるぞ!」
あたしはそんなこたあ言いません。
現実として起きた事は
「整体を受けている期間に肝臓の数値がよくなった」ということ。
このことに整体の施術がどのように関係しているのかを考えないといけません。
私は患者さんにこのように話しました。
「腰痛が楽になって生活の質が改善されたことが一因かもしれませんね。」
その方の以前の状態は、
・腰痛で仕事がとてもつらいものになっていた。
・痛みのために好きなゴルフもできなくなっていた。
・そのために酒量が増えたり、悪酔いしていた。
これが腰痛が改善する事で、
・仕事がばりばりできるようになって楽しい。
・ゴルフも腰を気にせずできる。運動がストレスなく出来る。
・たのしいお酒になって、深酒もしなくなった。
腰痛のストレスから開放され、体が元気になった。
そしてなにより酒量が減った。
その結果として数値が良くなった可能性はあると思います。
またそれ以外の何かが影響しているかもしれません。
姿勢の改善や偏った体の緊張がよくなったことが
影響していないとは言い切れませんが、
それだけが直接的に肝臓へ作用する事は考えにくいことです。
このように申し上げると、少し残念そうなご様子でした。
この方が抱いた大きな期待とは違うことを私が言ったからです。
私は力添えをしたかもしれませんが、
自分で治したことに気がつかないで、すべて此方への期待に変換してしまう、
そんな関係性は適切とは思えません。既によくなっていることですし。
こうした患者さんの期待感に、施術家は流されそうになることがあります。
現実を客観的に見て、正しく判断する。
この視点を忘れないように気をつけませんとね。
随分前のことですが、このように仰る方が来られたことがありました。
この方は来院する2,3年前から腰痛に苦しんでいました。
それが1ヶ月程度でかなりの改善がみられ、
それからさらに2ヶ月程経ってから肝臓を検査したところ、
今までかなり悪かった数値が正常になっていた、というのです。
「この整体は、肝臓を治せるぞ!」
あたしはそんなこたあ言いません。
現実として起きた事は
「整体を受けている期間に肝臓の数値がよくなった」ということ。
このことに整体の施術がどのように関係しているのかを考えないといけません。
私は患者さんにこのように話しました。
「腰痛が楽になって生活の質が改善されたことが一因かもしれませんね。」
その方の以前の状態は、
・腰痛で仕事がとてもつらいものになっていた。
・痛みのために好きなゴルフもできなくなっていた。
・そのために酒量が増えたり、悪酔いしていた。
これが腰痛が改善する事で、
・仕事がばりばりできるようになって楽しい。
・ゴルフも腰を気にせずできる。運動がストレスなく出来る。
・たのしいお酒になって、深酒もしなくなった。
腰痛のストレスから開放され、体が元気になった。
そしてなにより酒量が減った。
その結果として数値が良くなった可能性はあると思います。
またそれ以外の何かが影響しているかもしれません。
姿勢の改善や偏った体の緊張がよくなったことが
影響していないとは言い切れませんが、
それだけが直接的に肝臓へ作用する事は考えにくいことです。
このように申し上げると、少し残念そうなご様子でした。
この方が抱いた大きな期待とは違うことを私が言ったからです。
私は力添えをしたかもしれませんが、
自分で治したことに気がつかないで、すべて此方への期待に変換してしまう、
そんな関係性は適切とは思えません。既によくなっていることですし。
こうした患者さんの期待感に、施術家は流されそうになることがあります。
現実を客観的に見て、正しく判断する。
この視点を忘れないように気をつけませんとね。
登録:
投稿 (Atom)

