2011年10月13日木曜日

代替医療への期待

「先生の神通力で腰痛だけでなく肝臓までよくなりました!」
随分前のことですが、このように仰る方が来られたことがありました。

この方は来院する2,3年前から腰痛に苦しんでいました。
それが1ヶ月程度でかなりの改善がみられ、
それからさらに2ヶ月程経ってから肝臓を検査したところ、
今までかなり悪かった数値が正常になっていた、というのです。

「この整体は、肝臓を治せるぞ!」
あたしはそんなこたあ言いません。

現実として起きた事は

「整体を受けている期間に肝臓の数値がよくなった」ということ。

このことに整体の施術がどのように関係しているのかを考えないといけません。
私は患者さんにこのように話しました。

「腰痛が楽になって生活の質が改善されたことが一因かもしれませんね。」

その方の以前の状態は、
・腰痛で仕事がとてもつらいものになっていた。
・痛みのために好きなゴルフもできなくなっていた。
・そのために酒量が増えたり、悪酔いしていた。

これが腰痛が改善する事で、
・仕事がばりばりできるようになって楽しい。
・ゴルフも腰を気にせずできる。運動がストレスなく出来る。
・たのしいお酒になって、深酒もしなくなった。

腰痛のストレスから開放され、体が元気になった。
そしてなにより酒量が減った。
その結果として数値が良くなった可能性はあると思います。
またそれ以外の何かが影響しているかもしれません。
姿勢の改善や偏った体の緊張がよくなったことが
影響していないとは言い切れませんが、
それだけが直接的に肝臓へ作用する事は考えにくいことです。

このように申し上げると、少し残念そうなご様子でした。
この方が抱いた大きな期待とは違うことを私が言ったからです。

私は力添えをしたかもしれませんが、
自分で治したことに気がつかないで、すべて此方への期待に変換してしまう、
そんな関係性は適切とは思えません。既によくなっていることですし。

こうした患者さんの期待感に、施術家は流されそうになることがあります。

現実を客観的に見て、正しく判断する。
この視点を忘れないように気をつけませんとね。

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