2011年10月5日水曜日

「代替医療のトリック」を読んで














『代替医療のトリック』 サイモン・シン  新潮社

代替医療とはどういった医療なのか。
読んで字のごとく通常の医療の代りに用いられる医療、
簡単にいえば西洋医学に基づかない全ての療法のことです。
「民間療法」と表現されることもあります。
鍼灸、ホメオパシー、ハーブ療法、カイロプラティックなど
数えきれないほど、たくさんの代替医療があります。
私がやっている「整体」も代替医療です。
この本は代替医療が「本当に効くのか」を科学的根拠に基づいて検証しています。

特筆すべきは、理論的に証明できなくても、
本当に効果があるなら有効な治療法であると認める、
真実を追究するという立場で検証しているところです。
そこが単なる代替医療批判本ではないところです。

この本はまず病気というものを考える上で、科学的、客観的な見地が
いかに重要であるのかを述べています。
かつて医学は迷信を含んだ極めて曖昧なものでした。
この200年で科学的な物の見方をすることで、
正確で間違いを起こしにくいものに進歩しました。
ところが代替医療の世界は、昔の医学がそうだったように
迷信や明らかな矛盾がそのままになっています。

そして様々な科学的検証から得られた代替医療の真実の効果は…

結論から言えば、この本に書かれている検証の結果は、
多くの代替医療にとって望ましいものではありません。

それでも全ての代替医療の施術家はこの本を読んで、
胸に手を当ててみたほうがよいと思います。

「科学で全てが証明できるわけではない」
「目に見える世界しか信じないのは心が狭い」
このような反論しかできないようであれば、
その人は、
「目に見える世界を見ようとしない、正しいものの見方ができない人間」
という評価をうけることでしょう。
反論する前に、ほとんどの代替医療は科学的な検証に耐えられない
この現実を受け入れなくてはなりません。

代替医療が謳っている様々な効果。
それらは私の知る限り、

「創始者や立派な先生が言っていたから間違いない」
「思想や考え方が素晴らしい治療だから間違いない」
「(代替医療の)教科書にそうだと書かれているから間違いない」
「ある医者が認めているから間違いない」
「自分で効果を実感しているから間違いない」
「自然に由来するものだから間違いない」

せいぜいこの程度の個人的な感想に支えられているものでしかありません。

なぜ代替医療が根拠に乏しい自説にこだわり
現実を正しく見て、客観的に判断することができないのか。
それはまた次回のお話。

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