2011年10月21日金曜日

代替医療は「診断」できません

先週で最終回を迎えてしまいましたが、
毎回楽しみにして見ていたNHKの「ドクターG」。

実際にあった症例をリアルな再現ビデオで出題し、若い研修医たちが
経験豊富で優れた総合診療の医師に導かれながら
カンファレンス(症例検討会)をして、正しい病名を探り当てるという番組。

診断において何が大切なのかを教えてくれる
総合診療医たちの言葉はとてもためになるものでした。

もっとも法律的に「診断」をしていいのは医師だけですけどね。

代替医療の場合、言葉をかえて「見立て」なんて言います。
もともと江戸時代までの医者は診断のことを「見立て」と言っておりまして、
まあ意味合いは同じなんですが、そこは間違えちゃあいけません。
これを知らないと下手をすれば、うしろに手が回りますな。

見立てる上で、一番に考えなくてはいけないのが
「自分が手出ししてはいけない領域」、です。
主症状が肩こり、腰痛といったものでも
脳や内臓の疾患から来ていることもあります。
正しい治療を受ける機会を奪う事のないように、
自分を過信せず、客観的に判断する必要があります。

そういうものの見方について改めて考えさせてくれる番組でした。
ちなみに最終回の病名は「ウェルニッケ脳症」でしたが、
実はかなり早い段階でわかりました。やった、初めて当たった!

この病気をなぜ知っていたかというと、
「江戸患い」と言われた病気について以前調べたことがあったからなんです。

それは戦前まで、日本人の国民病と恐れられた「脚気」です。
ウェルニッケ脳症はビタミンB1が不足する事で起きる病気なのですが、
脚気も同じ原因で起きます。ビタミンB1について色々と調べていて、
それで知っていたというわけで。

麦や豆類、また玄米にはビタミンB1は含まれているので、
田舎の人は脚気にはなりにくかったそうです。
精米したお米、いわゆる「銀シャリ(白米)」ばかり食べていた江戸っ子は、
ビタミンB1が不足しやすかったのだ、とされております。

しかし脚気はかつて原因の分からない病でした。
明治時代に近代医学が日本に入ってくる中で様々な議論が起こりました。
脚気をめぐる医学界の混乱を見なおしてみると、
封建的で徒弟制度的な「学閥」というものの問題が浮き彫りになります。
うーん、この問題は今も変わっていないかもしれない…

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