2011年11月22日火曜日

「ためしてガッテン」への医療、代替医療の反応を考える

先週のためしてガッテン「驚異の回復!腰の痛み」をご覧になった方は多いようで、
患者さんも随分と話題にしていらっしゃいました。

さすが平均視聴率17%以上の番組です。
0.1%以下の日もある「きょうの健康」とは影響力が違います。

「先生が前から言ってきた事が、ついにテレビでやりましたね」

と言われても、これまでの被害を思うと、なんとも重たい気分です。

前回の記事で、間違えた理由を検証もしないで…、という話をしましたが、
番組に出られた先生方を批判するつもりはありません。
どういう意図であったにしろ、少なくとも「ヘルニア」に関しては、これ以上
手術をして後悔する人が出るのを防いでくれたのですから。

なんにせよ、国立大学以外の先生が、

今までの医学の常識を、視聴率の高いテレビ番組で大々的にほぼ完全否定した。
(これは国立大学の先生には、そもそもできないことかもしれませんが)

もうそれ以上の追及ということはできないんでしょう。


先日の放送に対する医療業界の反応を、ネットで調べて見ると、
スルーしている所が大半です。まあ反論の余地はほとんどありませんからね。
逆に手術に反対していた医師、あるいは代替医療の先生には意気軒昂の方もいる。

「そら見たことか、今さら何を言っている」

と批判した上で、

「我々が前から言っていた様に、筋肉と心を治療すれば治るんだ」(○○整形外科)
「脳の一部が問題なら、頭蓋骨調整で脳の血流をよくする私のやり方で絶対治る」(○○整体)

と都合のいい箇所をピックアップして我田引水。うーむ。
「自分は正しかった」と言いたい気持ちはわかるのですが、


もう「○○で治る!」と断言するのはやめにしませんか。

「絶対に治る」と期待して「治らない」ことで追い詰められる人がいるんです。


私には「○○で絶対治る」の○○に入るのが、「手術」から
別の「△△療法」に変わっているだけにしか思えないんです。

「確率的に他より治している」
「手術より危険はない」
というのは詭弁だと思いますよ。

ためしてガッテンに出演していた方も、
「近くにある湖に、何度飛び込もうと思ったことか…」
と仰ってました。

私は仕事の中でそういう方に幾度と無くお会いしてきて、
「治る確率を上げること」以上に、「治らない事で追い詰められる人を生まない」
ということが一番大事だと思うようになりました。

「絶対治る!」という宣言は、一つ間違えると苦しんでいる人を
さらに奈落へ突き落すこともあるのです。

そして、この番組で紹介された、
「ストレス改善によって、腰痛は自分で治せることもある
という事をもっと積極的にとりあげるべきではないのでしょうか。

自分で治せれば治療に行く必要はありません。
それが患者さんにとってはベストです。

「やっぱり私は正しかった」「私のやり方で治せる」と主張をしておいて、
自分の仕事(商売)に都合の悪い事実はきちんと取り上げようとしない。

そんなことでは、今まで「ヘルニア」の真実を積極的に知らせようとしなかった人達と
やってることはある意味一緒だと思うのです。
いや、もっと「たちが悪い」と了見を疑われたって仕方がない。

「誰の為にやっているのか」、という視点がまず「患者さん」に向いていなければ、
通常医療でも代替医療でも信用されなくなるのは当たり前です。
自分の治療の正当性を主張する前に、やるべきことがあるのではないでしょうか。


「腰痛は自分で治すこともできる」
そういう、「起こり得ること」をまず知ってもらう。その上で、

「こういうサポートの仕方がある。しかしそのやり方が全てではない」

と、事実をきちんと伝えること。
これが、通常医療であろうが、代替医療であろうが、
人(患者)と向き合う上で、必要な前提だと思います。

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