前回に引き続き腰痛のお話。もうしばらくお付き合い願います。
先週のNHKきょうの健康 「組み合わせが大切 腰痛対策」でも紹介されてましたが、
現在の医療では腰痛をこのようにとらえています。
「体」と「心」と「社会・環境」が相互に影響しあって、腰痛を引き起こしていると。
「社会・環境」は社会や環境が与える、身体的、心理的負担のことです。
だから厳密に言えば、腰痛は体と心の問題である、と捉えているわけです。
私はこの考え方には、大筋で異論はありません。
少し前は「腰痛は心の病気だ!」と断言しているお医者さんも少なくありませんでした。
ヘルニアなどの脊椎の異常、つまり「体」の異常が否定された事で、
「痛みを感じるのは脳(心)である、そこに異常があるのではないか」と考えたわけです。
だから、坑うつ薬、安定剤、カウンセリングなどで改善できるはずだと。
ところが海外のデータなどを見ると、これも思ったほどうまくはいっていないようです。
これから先、「心の薬」の投与が正しかったのか、という議論が出てくるかもしれません。
そもそも、腰痛が心の病気だとしても、「心の治療」自体がどれだけうまくいっているのか、
という問題もあるわけで。
どうやら「心理的要因」を改善しようとしても、思ったほど腰痛を解決できない。
結局、腰痛に対する「魔法の弾丸」は見つからなかった。
「魔法の弾丸」とは「特異的な効果を発揮する治療法」のことです。
学者はそれこそが真の治療だとして、追い求めます。
それは優れた再現性を持ち、あらゆる人に必ず効果を発揮するからです。
そういう治療を発見した人は、医学史に燦然とその名が刻まれます。
ところが色々研究してみたものの、
「効いたり効かなかったり、うーん、もうわかんねえや、 ̄\(-_-)/ ̄」
となっているのが腰痛分析の現実です。だから、
「組み合わせが大切」=「よくわからないので色々とやってみましょう」、
というわけです。
しかし現実を直視して、わからないことはわからない、と表明したことは、
よくわからないのに、「こうだ!」なんて言っている学者先生なんかより、
よっぽどまともな対応だとは思います。
患者さんは、その事実を知る事で、わからないならやるべきではない
リスクのある治療を避ける事ができるのですから。
ただ「きょうの健康」を見ていても、学者は根拠が曖昧な場合でも、
発言する時は結構断言をします。
これは学者の振る舞い方として身についちゃってんでしょうな。
兎にも角にも、その人の視点が、どこからどこへ向いて、誰のために発言しているのか。
社会の中で専門家が発言する時にはそこを注意深く見極めなくちゃあいけません。
次回は、「ヘルニアは本当に原因じゃないのか?」と「整体の効果」についてお話します。
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