2012年1月30日月曜日

「骨盤ダイエット」はいつから?(黎明編)

先日妻と「骨盤」の話をしていたら、
「昔は骨盤がズレたら大変だ、と思い込んでいたけど、
いつ頃からそんな一般常識や、骨盤ダイエットという言葉ができたの?」
と質問をされまして。うーん確かにいつからだろうか。

現在「骨盤」という言葉は日常的にTV番組や雑誌などで取り上げられ、
腰痛、ダイエット、体質改善、と様々な効果と絡めて使われています。

本来「骨盤」は医学用語であり、骨格のある部位を指す言葉で、
寛骨、仙骨、尾骨といわれる骨が強固に結合した、
複数の骨の集合体のことです。(わかりにくいと思った人は→こちら)

で、実際に「骨盤がズレる」ということはありません。
あるいは表現として間違っている、というのが事実です。
このことはまた違う機会に詳しく解説します。

一体「骨盤」という言葉への認識がいつから変わっていったのか。
検証方法として正しいかはちょっと疑問ですが、
amazonの書籍検索を使い、「骨盤」というキーワードで調べてみました。

全期間で調べると、総件数は969件でした。
これを年代別に調べてみました。

amazonで検索できる最も古いものは、1957年に出版された
『日本産婦人科全書〈第14巻 第1〉骨盤・腹膜及結合織疾患』
これは医学専門書で、この後も解剖学などの医学書のみが検索にかかります。
健康関連の一般書が出てくるのは1979年に出版されたこちらから。

『体は骨盤から治せ―土台から正す、誰にもできる』五味雅吉 (Hakko-books)

私が整体業界に入ったときに、有名人だったこの方は27件も検索にかかります。
婦人病や腰痛にとどまらず、色んな本を出しており
中高年の疲れや老化を改善するものやら、
果ては子供の視力回復の本まで出しているという…。まあ…スゴイですね。

ダイエット関係の本が出てくるのはもう少し後のことになります。
それが1988年の6月に出版されたこの本。

『こんなにヤセていいかしら―不思議な面白減量法 1回30秒だけで1日1キロ落ちる』

川津祐介 (プレイブックス) 











けれん味たっぷりのタイトルですが帯の一言がまたスゴイ。
- ぜったいにやり過ぎないで下さい -
昔は「本当に効くなら薬と一緒で、制御しないと危ない」と考える人が、
書籍を購入する人に多かったということですね。そのほうが信用できると。

俳優として有名だった川津祐介さんが書いたこの本はベストセラーとなり、
その中で紹介されている「骨盤体操」は大流行。
どうやら「骨盤」と「ダイエット」がセットになる土台は、この本によって作られたようです。

これ以外は80年代90年代「骨盤」というフレーズを使っている書籍は
「腰痛」や「婦人病」関連のものがほとんどで、その数も多くはなく、
ブームになったようなものも見当たりません。

私が整体修行を始めた1996年ごろには、
「骨盤のズレで体調がおかしく」という言葉を使っている人は結構いました。
骨盤とダイエットは先の本でセットになったものの、
「骨盤がおかしくなると、体が大変なことになる」というような
考え方がどこから来たのかどうもはっきりしない。

この20年、30年の間に何かのブームで変わったのではなく、
意外ともっと以前から日本人の共通認識として受け継がれていたのかもしれません。

そして「骨盤ダイエット」という言葉が市民権を得るのは、まだまだ先のことでございまして。

続きは次回「成長~成熟編」の講釈にて。

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