2011年12月21日水曜日

「たけしのみんなの家庭の医学」で紹介された腰痛の本当の原因

 昨日のたけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学』は
「長く治らない症状、本当の原因をもう1度探ります」と題したスペシャルでした。


最初に取り上げられたのが「腰痛」。
ついに民放も「ためしてガッテン」に続くのかと。ほのかな期待。
(腰痛の常識を否定した「ためしてガッテン」の記事はコチラ)


「治らない腰痛の原因は、腰ではなく○○にあった」というテロップを出しながら、
再現VTRで、ある方の腰痛の原因を追っていきました。
最初の整形外科の診断は「腰椎すべり症」。
投薬やリハビリを続けてもよくならず、ある朝ちゃんと立てない状態に。


そして大学病院でセカンドオピニオン。
ついた病名は「脊髄腫瘍」。
第十胸椎という腰より少し上の部分にできた腫瘍が痛みの原因だったのでした。
結論、「腰痛の本当の原因は脊髄腫瘍だった!」 (`・ω・´)キリッ


ズルッ(ノ_ _)ノ
…TVでそれをやりますか。


今日あたり、日本中の整形外科は検査の予約で、てんてこ舞いかもしれません。


この番組、以前は『最終警告! たけしの本当は怖い家庭の医学
というタイトルで放送していました。
何万人に1人という病気を取り上げては、
そのまま放って置くと、大変なことになりますよなどと言うことから
視聴者の不安をあおっていると、医療関係者の間でも評判がよいとは言えない番組でした。
そうした批判もあってか、番組のタイトルも変更し、
健康増進を中心にした番組にしたところ視聴率は激減。
それで以前のような番組にもどりつつあるのでしょうか。


脊髄腫瘍に関するデータを調べると、発症率は10万人に1~2人とされています。
そのうち腰痛を引き起こしているものは、さらに限られているはずです。
もちろん何十万分の1でも、なる人がいるのは事実。
そうした人が早く適切な治療を受けるのは大事なことです。


10年以上前のことですが、私が修行していた整体院に
「脊髄腫瘍」の方がみえたことがあります。
もちろん脊髄腫瘍かどうかはわかるものではありませんが、
動きや症状をみると、通常では起こりえない異常がありました。
すぐに精密検査を受けるように勧めましたが、いろんなところで検査しても、
原因がわからず、「脊髄腫瘍」が見つかったのは半年程してからでした。


番組に出演した先生にみてもらっていれば、もっと早くわかっていたかもしれません。
首の痛みや腰痛の原因として「脊髄腫瘍」があることを、医師は知っておく必要があります。


しかし「脊髄腫瘍による腰痛」は、極めて稀なケースであるという事実。
このことにほとんど言及しないで、腰痛の本当の原因は脊髄腫瘍だった」
TV番組で放送する事が正しいことといえるのでしょうか。


不安を煽られた人たちは、全くリスクがない状態でも、
検査をするまで納得しないかもしれません。
全国の良心的なお医者さんは
「滅多に無い事で、あなたの症状なら検査しなくても大丈夫です」
と説得するのに苦労していることでしょう。
「不安なら検査しましょう」とバンバン検査しているところもあるかもしれませんが。

そして出演された先生は「ヘルニア」に関して、「自然消失すること」は認めていましたが、
腰痛原因としては肯定していました。

医学界でコンセンサスが得られていないのは、よくあることとしても、
「ためしてガッテン」などでヘルニア原因説の矛盾が社会的に明らかになっている以上
「ヘルニア」を腰痛原因とするならば
「痛みのない人にもヘルニアがある」
「手術をしてもよくならない人がいる」
という事実に対してきちんと答えるべきだと思います。
今回の「腰椎すべり症」は腰痛と全然関係なかった、ということも完全にスルーしてましたし。

結局、何十年も変わらない「しばらく様子を見て、治らなかったら手術」では、
どんなに低侵襲(ダメージの少ない)の手術だとしても、
「都合の悪い事実から目を背けている」
と、信頼されないと思うのですが。

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