2012年1月31日火曜日

「骨盤ダイエット」はいつから?(成長~成熟編)

「骨盤」の扱われ方をamazon検索で追って分析をしていきます。
今回は「成長~成熟編」です。(前回の黎明編は→コチラ)

20世紀の全期間で出版された「骨盤」と「痩せる」を組み合わせた本は
わずかに6冊でした。「腰痛」などを扱った健康関連本も23冊。
2001年はダイエット関係は0冊、健康関連本は2冊と風前の灯。

ところが2002年「骨盤ダイエット」と銘打った本が何冊か出版されます。
3年間ほどコンスタントに10冊程度の本が出ますが、
2005年には3冊と下火に…、なったかと思いきや、

2006年、突如として「骨盤ダイエット」本が大量に出現します。
なぜ増えたのかはわかりませんが、その数は23冊と今までの中で最高。
そして、2007年28冊、2008年64冊、2009年87冊と右肩上がりの急成長。

健康関連本は2008年13冊から2009年59冊と急激に増えています。
これは2008年ごろから流行り始めた「骨盤」という注目ワードに
乗っかる本が急増したからでしょう。
スポーツ関連、出産関連が特に伸びています。

それにしても数が多ければ、やっちまった感が漂うタイトルも出てくるわけでして…。
年代別に、「骨盤」と組み合わせて使われたキーワードと一緒に見てみましょう。

2008年

『YOGA整体―一人で簡単ゆがみ改善!

ユガンデルタール人からユガミネーゼへ、美の進化』

「ユガミネーゼ様ごきげんよう」とか言ってたんでしょうかね。全くもってアリエネーゼ。

この年に「骨盤」とセットにして使われたキーワードは「くびれ」「骨盤ネジしめ」。
また「主婦世代のカリスマモデル」みたいな人が著者となった本が増えています。

2009年

『1分間 骨盤リンパダイエット 「銀座」が認める、最新メソッド!』 

そりゃもう「銀座」が認めるなら間違いない!

『八代亜紀のゆるーい3カ月骨盤ダイエット―二の腕・ウエストに効く雨降れウォーク』

「雨降れウォーク」って……誰か止められなかったんですか。

この年ぐらいから流行した他の健康関係の言葉がセットになって、付加価値も上昇。
「リセット」「毒出し」「デトックス」などなど

2010年

『最後の骨盤 女力は骨盤で決まる 』(講談社プラスアルファ新書)

最後の骨盤があるなら、最初の骨盤はあるのか?

「一日30秒」「骨盤で免疫力アップ」「骨盤で幸せをつかむ」等々、
ニーズに合わせたキーワードの組み込みも定着してきました。
この年辺りから「骨盤枕」という言葉もあらわれます。

2011年は受けを狙ったタイトル(本人は真剣なんでしょうが)は見当たりませんでした。
業界が精度の高いマーケティング戦略を行えるようになったからでしょうか。

この年は過去最高の93冊が出版されており、組み合わせキーワードは
「お腹が凹む!」「-10歳アンチエイジング」「スピリチュアル」「断捨離」
など定番ぽいものから、時代に合わせたものまでチョイスにぬかりはありません。

それにしても「ダイエット」自体はずっとブームですが、
なぜ「骨盤ダイエット」がこれほどまでに、
もてはやされるようになったのでしょうか。
これはどうもキーワードの組み合わせがうまいだけではないようです。

続きは次回「解析編」の講釈にて。

2012年1月30日月曜日

「骨盤ダイエット」はいつから?(黎明編)

先日妻と「骨盤」の話をしていたら、
「昔は骨盤がズレたら大変だ、と思い込んでいたけど、
いつ頃からそんな一般常識や、骨盤ダイエットという言葉ができたの?」
と質問をされまして。うーん確かにいつからだろうか。

現在「骨盤」という言葉は日常的にTV番組や雑誌などで取り上げられ、
腰痛、ダイエット、体質改善、と様々な効果と絡めて使われています。

本来「骨盤」は医学用語であり、骨格のある部位を指す言葉で、
寛骨、仙骨、尾骨といわれる骨が強固に結合した、
複数の骨の集合体のことです。(わかりにくいと思った人は→こちら)

で、実際に「骨盤がズレる」ということはありません。
あるいは表現として間違っている、というのが事実です。
このことはまた違う機会に詳しく解説します。

一体「骨盤」という言葉への認識がいつから変わっていったのか。
検証方法として正しいかはちょっと疑問ですが、
amazonの書籍検索を使い、「骨盤」というキーワードで調べてみました。

全期間で調べると、総件数は969件でした。
これを年代別に調べてみました。

amazonで検索できる最も古いものは、1957年に出版された
『日本産婦人科全書〈第14巻 第1〉骨盤・腹膜及結合織疾患』
これは医学専門書で、この後も解剖学などの医学書のみが検索にかかります。
健康関連の一般書が出てくるのは1979年に出版されたこちらから。

『体は骨盤から治せ―土台から正す、誰にもできる』五味雅吉 (Hakko-books)

私が整体業界に入ったときに、有名人だったこの方は27件も検索にかかります。
婦人病や腰痛にとどまらず、色んな本を出しており
中高年の疲れや老化を改善するものやら、
果ては子供の視力回復の本まで出しているという…。まあ…スゴイですね。

ダイエット関係の本が出てくるのはもう少し後のことになります。
それが1988年の6月に出版されたこの本。

『こんなにヤセていいかしら―不思議な面白減量法 1回30秒だけで1日1キロ落ちる』

川津祐介 (プレイブックス) 











けれん味たっぷりのタイトルですが帯の一言がまたスゴイ。
- ぜったいにやり過ぎないで下さい -
昔は「本当に効くなら薬と一緒で、制御しないと危ない」と考える人が、
書籍を購入する人に多かったということですね。そのほうが信用できると。

俳優として有名だった川津祐介さんが書いたこの本はベストセラーとなり、
その中で紹介されている「骨盤体操」は大流行。
どうやら「骨盤」と「ダイエット」がセットになる土台は、この本によって作られたようです。

これ以外は80年代90年代「骨盤」というフレーズを使っている書籍は
「腰痛」や「婦人病」関連のものがほとんどで、その数も多くはなく、
ブームになったようなものも見当たりません。

私が整体修行を始めた1996年ごろには、
「骨盤のズレで体調がおかしく」という言葉を使っている人は結構いました。
骨盤とダイエットは先の本でセットになったものの、
「骨盤がおかしくなると、体が大変なことになる」というような
考え方がどこから来たのかどうもはっきりしない。

この20年、30年の間に何かのブームで変わったのではなく、
意外ともっと以前から日本人の共通認識として受け継がれていたのかもしれません。

そして「骨盤ダイエット」という言葉が市民権を得るのは、まだまだ先のことでございまして。

続きは次回「成長~成熟編」の講釈にて。

2012年1月21日土曜日

ダイエットについて(骨盤枕)

昨日はTV番組で「骨盤枕」なるダイエット法が紹介されたようで、
結構話題になっているようですね。

ところで日本人女性は「痩せている人も痩せたい願望がある」ということをご存知でしょうか。

『女子大学生の体型と痩せ願望』(→リンク)という論文によれば、
240人を痩せ、普通、肥満に分類したところ、そのうちわけは、
痩せ群40人、普通群184人、肥満群16人。
痩せ群40人のうち、13人(32.5%)
普通群184人のうち、170人(92.4%)が痩せたいと思っています。
しかし健康を考えた時に「痩せる」ということは、全ての人にとって良い事なのでしょうか。
痩せてしまった事でなんらかの健康障害が出るかもしれません。

昨日の番組は見ていないので、ネットで調べてみると

「普通の枕ではなくまず専用の枕を作ります。バスタオル2枚を重ねくるくる巻いて、ビニールひもでしばって円筒状の枕を作れば完成!これを一日5分腰の下に敷くだけです。骨盤の歪みがとれて、代謝がよくなり太りにくい体質になります。」

という実に簡単なもの。すぐに浮かぶ疑問はこちら。
「バスタオルの硬さや厚みによっては、全く違うものができるけどよいのか」
「そもそもみんな身長や体型が違うのにそれに合わせなくていいのか」
「腰といっても範囲は広いが、『腰の下』と言った場合、
人によって枕が当たる位置が違ってくるが厳密にやらなくていいのか」

人によって、やっていることそのものに違いが出る場合、再現性は低くなります。
厳密にやらなくても同じ効果があらわれることはありますが、
これはひょっとすると「スタイリー(古い!)やぶらさがり健康器で痩せる」的なものかも。

体を反らせることで、一瞬ウェスト周りがすっきり、計ってみてびっくり、
それがモチベーションになって、ダイエットに精がでる。
というタイプのものなのかもしれません。

まあ他にも科学的な見方をすれば、つっこみどころは満載ですが、
ここはあえて「骨盤枕で本当に痩せる!」という前提で話をしたいと思います。

ダイエット記事などでよく挙げられる痩せる方法は、
「食事制限」「運動によるエネルギー消費」「代謝をよくする」です。
この中で言葉が独り歩きして眉唾ものなのが「代謝をよくする」。
基礎代謝を上げて、食べても太らない体質に!なんてよくやってますが、
ここでは「骨盤枕」が効能として謳っている通りに、
代謝がよくなり、痩せて太らない体質になったとします。

「代謝がよくなって、食べても太らない」、やったあ万々歳!

ちょっと待ってください。
「食べても太らない」、それは本当に理想的な状態といえるのでしょうか。
以前と比べて体の調子はどうなのでしょうか。
そもそも以前の状態が本当に「代謝がよくない」状態だったのでしょうか。
「代謝が良くなった」のではなくて、体の働きが狂って、
「栄養をキチンと吸収して、体内にとどめる事ができない状態」になったのかもしれません。

「食べても太らない(太れない)」、あるいは「痩せる」ということが、人にとって
本当に正しい健康状態なのかという見地が完全に抜け落ちています。

私は今までに「食べられない」あるいは「食べても太れない方が、
体調不良で苦しんでいるのを随分と見てきています。
周囲の人からかけられる、
少食でいいね!」とか「太らないからうらやましい」
という言葉に傷つく人も少なくありません。
本人は苦しんでいるわけですから…。

つまるところ、不特定多数の人に対して「これで痩せる!」と
オススメするってことは、
たとえ事実でも、「後は野となれ、山となれ」ということです。
病気になろうが知ったことじゃあない。

もちろん、健康面も含めて痩せた方がよい人に対して
キチンと指導を行っているのなら話は別です。

「食べても太らない体になりたい」という考え方は裏を返せば、
「食欲は抑えられないが、きれいな外見になりたい」ということ。
そういう人の心を見透かして、「これで痩せる!」なんてやって
業績を上げている会社もあるかもしれませんよ。

本当はそんな自分の心を見つめ直すところから始めなきゃあいけないんですが…。
まあ困ったもんです。
関連記事 : 「骨盤ダイエットはいつから」(黎明編)(成長~成熟編)(解析編)

2012年1月20日金曜日

落語講座にいっぱいのお運び有難うございました!

一昨日は月に一度の落語講座でございまして。

暮らしの学校にて朝9時30分から講座開始。
少人数で距離が近いので、落語の後の会話もはずみました。
でもさすがに時間が早すぎたようで。
4月からの講座は10時30分からになります。(決定!)

そして夜は喫茶スロースさんにて
「背中家腰楽の腑に落ちる話」
…こんなタイトルどこかで聞いたことがあるようなないような。

若い方ばかりの席になると思っておりましたら、
かなりの通とおぼしき紳士の姿も…。

演目は「御神酒徳利」。
元々は上方落語だった話を昭和の名人『三遊亭圓生』が、
江戸に移しまして現在の型を作り上げました。
昭和四十八年、圓生師匠が宮中に召され、御前にて上演したのがこの話。


日本橋馬喰町の旅籠・刈豆屋の番頭、善六は人は好いけどそそっかしい。
台所の水がめの蓋の上に誰かが置きっぱなしにした宝物の銀のお徳利。
盗まれてはいけないと水がめの中に沈めたが、それをすっかり忘れてしまう。
店は宝物がなくなったと大騒ぎ。善六は家に帰って初めて自分のした事を思い出す。
女房の助言で、生涯に三度だけ必ず当たるそろばん占いができる、とウソを言い、
占いで探し当てたように見せかけて、お徳利を出し、事なきを得る。
ところが2階に泊まっていた鴻池家のご支配人から占いの依頼が…


悪人が一人も出てこない、おめでたいお話でして。

ご好評の言葉をtwitterなどでも頂きまして…
はぁ…、ホントにうれしい限りでございます。
会が終わった後で落語に造詣の深い方ともお話をさせて頂いて、
私も色々と勉強になりました。
こういう場を作ってくださったスロースさんには本当に感謝!

これからも月に一度、寄席とはまた違った様子の
落語講座をやって参りたいと思います。
いやあ、ワクワクして落語ができるなんて、本当にありがたい!

2012年1月12日木曜日

猪鍋と二番煎じ

先日、長野から旧友が遊びに来てくれまして、おみやげを頂きました。

それが、この「猪ジン」!












落語で猪肉が出てくる話と言えば、「二番煎じ」。


火事と喧嘩は江戸の華なんて申しまして、昔は大変火事が多かった。
冬の寒い夜、町内の旦那方が火の回りに出ることに。
すっかり冷え切って番屋に戻ってくると、酒を持ってきた者がいる。
お役目中にとんでもないこと、とは言いつつも、「これは酒ではなくて煎じ薬」と
土瓶に酒を入れてお燗を始める。
酒の肴に猪肉を持ってきた者までおり、やはりとんでもないことと言いながら、
「これは猪鍋ではなく、煎じ薬の口直し」と
みんなで鍋パーティーをしていい気持ちになっていると、
表から扉を叩く音が…


大好きなんですが、難しい噺。
「火の用心」の掛け声の出し方が、登場人物によって違うのですが、
節をつけてやる辺りは、長唄なり清元なり、
落語とは違う芸まできちんと身についてないと
悲惨なものになりますな。
まあいつかはキチンとやりたい。

で、肝心の猪ジン、歯ごたえがあり野趣あふれる独特のおいしさがありました。
さらに私の脳内にインプットされている、
「志ん朝師匠の猪鍋を物凄くうまそうに食べる様子」
により、旨さ倍増の舌鼓。ごちそうさまでした。


翌日私のノートに何者かによるこんなおもろい落書きが!



















「猪ジン」の「猪」は「しし」と読むんですけど…

2012年1月5日木曜日

定休日の変更と1月の講座のお知らせ

あけましておめでとうございます。

本日が仕事始めです。

杉田整体院は今年から定休日が水曜日に変わります。
日曜日、祝日は開いております。

そして月に一回、昼夜二席の講座を行います。
昼、というか朝ですね。まずは昨年から引き続きまして、


場所 暮らしの学校 (JR岡崎駅より徒歩5分)

日時 1月18日(水) 午前9:30より 全3回(年内毎月開催)

電話  0120-511-533

WEB  暮らしの学校(講座ページ)


夜、1階は特製自家焙煎コーヒー店、
2階は「ナマケモノ大学」を開催している


場所 喫茶スロース (JR蒲郡駅より徒歩2分)

日時 1月18日(水) 20:00より 毎月開催(予定)

電話  050-3598-6745

WEB  http://ameblo.jp/slothcoffee/


現代の「笑い」は効率を上げようと、
「早く大笑いさせる」ことを追求したことで、
なくなっている「笑い」があります。

一口に「笑い」といっても、いろんな笑いがあります。
「忍び笑い」「含み笑い」「思い出し笑い」「苦笑い」「ほくそ笑む」「泣き笑い」 etc.

落語を「おもしろい」と感じたときには、自分の中に
今までと違った笑いの感覚が芽生えているかもしれませんよ。