2011年9月29日木曜日

落語全集 下














落語全集の紹介。最後の下巻。














前書きは「浮世哲学」。
執筆者は、人呼んで「外務省の名物男」、小村欣一。
外務大臣、小村寿太郎の息子さん。
ウィットに富んだ文章がなかなか面白い。
かなり粋な官僚だったようですな。

「努力は結構だが世の中の状態を無視して自分ひとりが決めた、
最善の努力もまた必ず成功するとは限らない」

日露戦争のポーツマス条約で、ロシアから賠償金を引き出せなかったことから
(もっとも日本には戦争継続の余力はなく、形式上の「勝ち」を引き出すのが精一杯だった)
マスコミが見積もった多額の賠償金に、「賠償金!賠償金!」となっていた
日本国民の批判を一身に浴びた小村寿太郎。
その息子の言葉と思えばまた重みが違ってくる。

 「人情の機微、世態の妙諦というものは単なる文字や、言語では、
中々呑み込めるものではない、いわゆる浮世哲学が必要である」
「落語の中には、深遠微妙な人情と、世態の真相を巧みに、物語っているものがある」

ただの「お笑い」ではない落語の本質を語りつつ、
社会の真相を見つめなくてはならないというメッセージを伝えています。
こういう論理と興趣の双方に通じた、実社会に有益な人物が、
現代の官僚や政治家にはいないものでしょうか。


昭和四年十二月十日 発行とあり、初版本なのですが、
右下に (非売品) の文字が…
祖母が、どういういきさつでこの落語全集を手に入れたのか、
今となっては永遠の謎です。

2011年9月28日水曜日

落語全集 中














昨日に引き続き、落語全集の紹介。本日は中巻。














前書きは、「武士道」の新渡戸稲造。前の5千円札の人です。
高橋是清といい、落語好きはお札になるような出世をするかも?

「笑」と題して、様々な観点から論じつつ
情緒より起きる笑いと智能より発するユーモアが
「人々に喜びと思想の深みを分って、人生を豊かにし、世を明るくする偉大なる作用を来す」
と笑いというものを考察しています。
現代のTVなどの笑いは、ちょっと情緒に偏りすぎでしょうか。うーむ。














上に演目、下に演者の名前。
大名跡がずらりと並んでます。
なんと「立川談志」の名も。もちろん当代がまだ生まれる前ですので、先代ですが。

この落語全集は、落語の口演を書き起こしたものでして。
昔は録音機器がありませんから、速記を行っていた。

明治の大名人「三遊亭圓朝」が最初に速記を許したといいます。
それが新聞に載って好評を博しました。
落語速記文は言文一致体で書かれており
その影響を受けたのがかの二葉亭四迷。
ここから言文一致体で書かれた最初の小説、
「浮雲」の執筆へとつながっていきます。

落語が日本語の文体の変化に大きく関わっていたというお話。

2011年9月27日火曜日

落語全集 上

私の落語好きのルーツ。祖母の形見であります。





大日本雄弁会講談社(今の講談社)から
昭和四年に発行された落語全集







布張りの表装は流石に劣化して、ほつれや汚れが目立ちますが、
戦争前に出版されているせいか製本がきちんとしています。
シミはあるものの読むのには支障ナシ。















題字は当時の大蔵大臣、高橋是清の手によるもの。50円札の人です。
「無趣濁心耳」とあります。
「趣というものが無ければ、心でものを聞き取ることはできない」
という意味です、おそらく。いいこと仰いますなあ。

 

前書きは、日本資本主義の父と言われる渋沢栄一。
どうもかなりの落語好き。
伝説の名人「三遊亭圓朝」を贔屓にしていたらしく
その逸話が述べられておりまして大変興味深いものがあります。

戦前から戦後しばらくまでは(今でもあるとは思いますが)、
政治家や財界人が落語家などの芸人を贔屓にして、
客を招いた時に余興を添えるために、
わざわざ呼ぶ事があったそうです。

前書きはこう結んでいます。
「余韻のある処世、余情のある交際、これほど人生に於いて大切なことはない」
「滔々たる懸河の弁を弄するよりも世人がこの落語に学ぶところ多からんことを願う」
論語に通じ、仁義道徳が経済の根底になくてはならないと説いた渋沢栄一。

人生の妙味を知る日本人は今はいずこ…

2011年9月26日月曜日

葵丘倶楽部にて

昨日は、葵丘会館にて
「落語と笑いで健康づくり」と題しまして、
落語を2席、健康にまつわる話を交えまして
させていただきました。

定員100名のところ120名もの方においで頂きまして、
わざわざのお運び誠にありがとうございました。

またこうした会が開けましたのも葵丘会館のスタッフの皆様方が
お骨折りくださいましたお陰でございまして、御礼申し上げます。

2011年9月16日金曜日

講座のお知らせ その2

その2、と言いつつこちらの方が先だったりします。

名鉄東岡崎駅南口から徒歩1分の葵丘会館にて

9月25日(日) 午後1時30分から

会費 千円 (お茶、ケーキ付) 定員100名

「落語と笑いで健康づくり」 というタイトルで
落語を2席。健康にまつわる様々な話を
ちりばめながら演らせていただきます。
もう急に忙しくなりましたんですが、
こうして噺をさせていただけるのは
ありがたいことでございます。

お問い合わせはこちらまで

葵丘倶楽部事務局 (月曜、祭日休館)
TEL 0564-57-1451

2011年9月7日水曜日

講座のお知らせ その1

久々の更新でして。

実は以前から講座の依頼を頂いておりまして、そのお知らせでございます

10月より JR岡崎駅 徒歩5分の暮らしの学校にて講座を行います。
タイトルは 「らくごでらくごしない生き方」 です。










健康食品やパワースポットなど現代の健康ブームや
江戸時代の病気や健康法などの身体にまつわる様々な話題を
落語の笑いを通して、話させていただきます。
健康を考える上で、本当に大切な事はなんであるのか
皆さんにお伝えできればと思っております。

お問い合わせは 暮らしの学校 まで

岡崎市羽根町字若宮30番地  TEL 0120-511-533