2011年9月27日火曜日

落語全集 上

私の落語好きのルーツ。祖母の形見であります。





大日本雄弁会講談社(今の講談社)から
昭和四年に発行された落語全集







布張りの表装は流石に劣化して、ほつれや汚れが目立ちますが、
戦争前に出版されているせいか製本がきちんとしています。
シミはあるものの読むのには支障ナシ。















題字は当時の大蔵大臣、高橋是清の手によるもの。50円札の人です。
「無趣濁心耳」とあります。
「趣というものが無ければ、心でものを聞き取ることはできない」
という意味です、おそらく。いいこと仰いますなあ。

 

前書きは、日本資本主義の父と言われる渋沢栄一。
どうもかなりの落語好き。
伝説の名人「三遊亭圓朝」を贔屓にしていたらしく
その逸話が述べられておりまして大変興味深いものがあります。

戦前から戦後しばらくまでは(今でもあるとは思いますが)、
政治家や財界人が落語家などの芸人を贔屓にして、
客を招いた時に余興を添えるために、
わざわざ呼ぶ事があったそうです。

前書きはこう結んでいます。
「余韻のある処世、余情のある交際、これほど人生に於いて大切なことはない」
「滔々たる懸河の弁を弄するよりも世人がこの落語に学ぶところ多からんことを願う」
論語に通じ、仁義道徳が経済の根底になくてはならないと説いた渋沢栄一。

人生の妙味を知る日本人は今はいずこ…

0 件のコメント:

コメントを投稿